学習会「デートDVとは何か?」
2/16(日)、講師にアウェアデートDV防止プログラム・ファシリテーターの樋浦敬子さんをお招きし、学習会「デートDVとは何か?」を開催しました。
デートDV(ドメスティック・バイオレンス)は、交際相手からの心身への暴力を指し、深刻な社会問題となっています。警視庁のデータによれば、被害者は圧倒的に女性が多く、中には命の危険を感じる深刻なケースも存在します。特に、2023年6月に横浜市鶴見区で起きた元交際相手による女子大学生刺殺事件は、衝撃的な事件として記憶に新しいところです。
子どもたちを「加害者にも被害者にも傍観者にもさせないために」私たち大人に何ができるでしょうか?
- 力と支配という価値観
デートDVにおける暴力は、相手を思い通りに動かす手段として用いられます。交際相手を自分の支配下に置きたいという欲求から、暴力が行使されることがあります。これは、親子や上司と部下など、社会のさまざまな関係性にも見られる力の行使と共通しています。
- 暴力容認の風潮
暴力は悪いことと認識されつつも、「正義のためなら許される」「軽い暴力なら問題ない」といった条件付きで容認されることがあります。しかし、暴力は連鎖し、エスカレートする傾向があります。暴力は程度に関わらず容認せず、他の解決方法を選択することが重要です。
- ジェンダー規範と社会構造
社会的な性役割、すなわち「男らしさ」「女らしさ」といった固定観念が、デートDVの背景に存在します。男性は強く、女性は従順であるべきといった考え方が、力関係の不均衡を生み出し、暴力を正当化する要因となることがあります。特に日本は、世界的に見ても男女格差が大きい国とされており、社会的な性役割の影響が強いと指摘されています。
これらの要因が組み合わさり、デートDVが発生しやすい環境が形成されています。この問題を解決するためには、力による支配の否定、暴力の一切の容認を避ける姿勢、そしてジェンダー規範にとらわれない個人の尊重が必要です。社会全体での意識改革が求められています。
4.国や行政の対策は?
文部科学省と内閣府は、子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、「生命(いのち)の安全教育」を推進しています。この教育では、生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解し、自分や相手、一人一人を尊重する態度を、発達段階に応じて身に付けることを目指しています。
具体的には、幼児期から高校生までの各段階に応じた教材や指導の手引きが作成され、学校現場で活用されています。これにより、子供たちは自分や他者の身体を尊重し、健全な人間関係を築く力を養うことが期待されています。
デートDVの根絶には、個人の意識改革だけでなく、社会全体での取り組みが不可欠です。命の安全教育を通じて、次世代が暴力のない社会を築くための基盤を作ることが求められています。(F.S)