教科書を巡る問題

教科書を巡る問題が再度出てきている、という声を聞き、急遽「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」の樋浦敬子さんに話を伺いました。

藤沢市では2011年、中学の歴史、公民の教科書が育鵬社になりました。ネット藤沢ではこの教科書には問題がある、と反対してきましたが、2020年に東京書籍に決まりました。この時、自由社の歴史教科書は2019年検定で不合格となり、2020年の教育委員会での俎上にのりませんでした。しかし、2020年の検定で自由社の歴史教科書が合格したことから、自由社の教科書を支持する団体から再度採択をやり直すように、という動きが出てきました。文科省では「新規に合格した教科書について再採択手続きをするかどうかは採択権者が決めて良い」という通知を出したことから各自治体では再度検討する動きが出ています。

藤沢市では今年5月の教育委員会で歴史教科書の採択替えをしないと全員一致で決定しました。6月の教育委員会に「採択替えはしないと5月に決定したが、再検討してほしい」という旨の請願が出ました。教育委員会では昨年しっかり検討し、現場の意見も汲んで決定したことで、現在も使いにくい、等の声は聞かれないとこからこの請願は不採択になりました。

ここからが余り知らなかった問題。

日本維新の会の衆議院議員が①「従軍慰安婦」等の表現②「強制連行」「強制労働」の表現に関する質問主意書を出しました。この質問に対して「内閣総理大臣 管義偉」の名前で①に対して「従軍慰安婦」は誤解を恐れる可能性があるので「慰安婦」を用いることが適切で、国際社会において、客観的事実に基づく正しい歴史認識をが形成され、我が国の基本的立場や取り組に対して正当な評価を受けるべく対外発信を強化する。②に対しては朝鮮半島から内地に移入した人々を「強制連行された」とひとくくりにすることは不適切。(この時代は日本の領土であったため日本人なので)徴用を用いることが適切で、強制労働も不適切との答弁書が出ています。

この政府見解を受け、文科省が教科書発行会社に「情報提供」として政府見解で不適切とされた語句(従軍慰安婦、強制連行、強制労働)を使用することは学習に支障をきたす恐れがあると説明がありました。政府は検定基準を変え、教科書へ政治的介入を可能にし、少しずつ記載が替えられていくということがわかりました。

私たちは政治の介入により、教科書が知らないうちに少しずつ替えられていくことにも注視しなければならない。そのためには直近に行われる衆議院総選挙は重大であると、改めて考えました。(植木)